釣った魚、美味しく食べてますか?
自分で釣った魚はウマい!っていいますけど、これって当然なんですよね。
スーパーなんかに入ってくる魚は大量に捕獲され、魚同士もみ合いになりながら入荷されてきます。
しかも、捕獲されてから時間が経過してしまってるものもあります。
物流が良くなった現代とは言え、これは仕方無いことなんですよね。
しかし、釣った魚は1匹1匹大事に釣り上げられるので身へのダメージもなく釣りが終わればすぐに台所や冷蔵庫に向かいます。
これが美味しくないわけ無いですよね。
でも、その魚の鮮度は本当に保たれてますか?というのが、今回の記事の内容です。
最近では鮮度の保ち方も色々な情報があるので何を信じたらいいのか分かんない人も多いかと思います。
氷で〆た方がいいとか、エラと尻尾を切って脱血させた方がいいとか、神経締めとか色んな方法がありますもんね。
実は締め方として有名な方法も最近では「やらない方がいいんじゃないか」と考えられているものもあるんですよ。
やったほうが良いと思い込んでやってたけど、実はやり過ぎて逆に鮮度が下がってしまう方法もあります。
せっかく鮮度良く持ち帰ろうとしてるのに、その行為が鮮度を下げてしまってたら残念ですよね。
なので、今回は魚の鮮度を保つための方法と手順を紹介していきます。
これを確認すれば次からは美味しい魚が食べられます!
じっくり読んで、ぜひ試してみてくださいね(^^)
目次
小型の魚は氷水で〆る
小型の魚を〆る時にオススメな方法は「氷水締め」です。
小型のサビキで釣れるような魚は1匹1匹締めてるとあっという間に「時合い」の時間が過ぎてしまいますよね。
なんたって、サビキ釣りは3桁とか釣れますから。
1匹30秒で締め終わると考えても30秒×100匹=3000秒(50分)なんですよ。
50分ってヤバくないですか?
釣り場でそんなに時間かけれられないってのが分かってもらえますよね。
なので、小型の魚は「氷水」で〆ます。
クーラーボックスに氷をたくさん入れて海水を注ぐだけで締める用意は万全です。
海水は真水よりも氷になる温度が低いので、ただの水よりも低い温度に保てます。
そこに釣れた魚を入れるだけで〆れるのでとっても簡単ですよね。
釣れた魚をクーラーに入れるだけですから釣り人には何の負担もありません。
これだけで〆れますので小型の魚は「氷水」で締めるのがオススメですよ(^^)
大型魚は血抜き&脳締め&神経締め
大きい魚も「氷水」締めしてもいいんですけど、魚体が大きいので全身が冷えるのに時間がかかりますし(鮮度が落ちる)、臭みの原因にもなる血の量が多いので別の方法で締めることをオススメします。
大きい魚は「血抜き+脳締め+神経締め」の3点セットが最強です。
慣れないうちはちょっと大変かなーと思うかもしれませんが、そのうち「鮮度が落ちるからやらないとイヤ」って感じになってきますよ笑
美味しく食べたいですもんね♪
では、手順をお伝えします。
脳天にピックのような道具を指して脳締めする
こんな道具を使います。
これを魚の頭に使うことで脳締めが出来るんですよ。
ちょうどこんな感じで使います。
全身へ色々な命令を送ってる脳を締めることで、それを断つんですね。
初めてこの方法を知った時は、理にかなったやり方だなーと感心しました。
赤い点を刺してグリグリーっとすればOKなのでけっこう簡単に出来ちゃいますよ♪
エラの内側にある「白い膜」だけを切って背骨付近の動脈に切れ目を入れる
脳締めをした状態だけでは心臓は動き続けています。
これがメチャクチャ大事なポイントです。
心臓が動いているうちに魚自身の力で脱血させてやるんですよ。
しかし、エラを切っただけでは血は止まってしまいます。
理科の授業でやりましたが血液の中には血小板があり、血小板は空気に触れると血を止める役割を発揮しますよね。
なので、空気に触れさせないことが大事なんです。
空気に触れさせないように魚を海水に浸けて最後まで血が出るようにしましょう。
また、血抜きには他にも2つの注意点があります。
覚えておかないとせっかくのテクニックがムダになりますので必ず実践してくださいね。
エラの奥まで切ってしまうと心臓やその周りの血管を傷つけてしまいます。
動脈を切るのは最小限にしないと、失血して心臓が止まってしまうため最後まで脱血出来ません。
心臓を刺してしまった場合も同じです。
なので、エラの根本の血管だけを切るようにしましょう。
尻尾は切らない
よく聞く「血抜きの方法」で「尻尾の根元を断つ」という方法があります。
尻尾の根本を切ると確かに血はたくさんですんですよ。
でもね、尻尾の根本を切ると血が出過ぎちゃって、脱血が完了する前に血圧が下がっちゃうので細かい血管の血が出きりません。
切るのはエラの根本だけで充分なので注意しましょう。
脳締めした穴から脊髄へ針金の様なモノを通して神経締めする
神経締めは「硬直」を遅らせるために行います。
魚というか動物は絶命し時間が経つと「硬直」が始まります。
「魚の一番美味しい時は?」
魚が一番美味しいのは死後硬直が始まって終わるまでの間とされ、死後硬直の時間は
魚によって異なります。一般的にタラ、サバやイワシなどの青魚は鮮度が落ちるまでの
時間が短く、タイ、ヒラメやカレイなどの底もの魚は鮮度が落ちるまでの時間が長くなっており、
刺身としておいしく食べられる期間は、氷蔵で保存した場合、タラ(数時間)、サバ、カツオ(2日)、
ブリ(6日)、マダイ(12日)程度とされています。
つまり、神経締めをした方が硬直を遅らせることが出来るので、美味しい時間を長く出来るというわけですね。
実際にほとんど変わらない時間に釣り上げたブリを食べ比べたことがありますが「圧倒的に神経締めした方がウマかった」です。
なので、美味しく食べたい人は神経締めも必須ですよ!
コツは脳締めした穴から専用の道具を入れて魚の身体が「ピクピクっ」っと動く所を探します。
見つけたと思ったら尻尾の方まで針金の様な道具を出し入れしてください。
普通にこれ考えた人すげーって感じしません?
慣れないうちは中々うまくいきませんが、練習してるうちに出来るようになりますので諦めずにチャレンジして下さいね(^^)
ちなみに締め終わった魚は氷水に浸けておきます。
水温が低すぎると氷焼けと同じ状態になりますので注意して下さい。
締め方の一連の流れは、この動画がメチャクチャ参考になります!
恐らく周りにいるのは漁業関係者でしょう。
そんな人達に教える内容をユーチューブで流してくれるんですから、いい時代になったなーって素直に思います。
漁業関係者でも知らないんだから、一般の私達は知らない人もたくさんいるでしょうし実際理にかなったことを言ってるので今後これが主流になると思ってます。
ぜひ動画でも最先端の締め方を学んでくださいね(^^)
〆た魚は氷に直接触れさせない(キンキンに冷やさない)
良く勘違いされるのが、「釣った魚は氷でキンキンに冷やさなきいけない」という思い込みです。
実は魚って冷やしすぎると「氷焼け」と呼ばれる身焼けを起こし鮮度が落ちます。
なので、締め終わった後の魚は「冷えすぎない程度」の冷たさでクーラーボックスの中で保管しておくのが正解です。
冷えすぎの目安としては「魚の目が白くなる」と温度が低い証拠ですので保冷剤の量を減らしたりして調整してくださいね。
氷に直接触れると一部分だけ「氷焼け」しますので、氷を用意する場合は底一面に用意して「すのこ」を引いておくと良いでしょう。
「保冷剤」の場合は、タオルを巻いて調整するといいですよ。
氷や保冷剤の量に関しては、釣行時間やクーラーボックスの性能差、釣り上げた魚の量によって変わりますので魚の目が白くならないように調整してください。
エラ・内臓は処理できるなら取ったほうが良い(アニサキス対策)
魚は血管の多いエラや内蔵から腐敗が始まってきます。
なので、エラや内臓は処理できる状況なら取ったほうが魚の鮮度を保てるんですよね。
しかし、取った内臓やエラを処理する方法には注意しなければいけません。
魚のエラや内臓は自然界にいるのであれば、プランクトンや小魚により分解・捕食され食物連鎖に巻き込まれていきます。
しかし、釣り人が大量に破棄したエラや内臓に関しては自然界の処理が追いつくのかと考えると疑問が残ります。
釣り人は1人じゃありませんしね。
なので、エラや内臓はすぐに処理するべきですが、処理したものは袋に入れて持って帰ってくるのが正解だと思ってます。
ニオイが気になる方もいると思いますが、キチンと処理すればニオイも気になりません。
魚のニオイ対策に関しての記事も書いてますので、気になる方はそちらを参考にしてくださいね。
そして、忘れてはならないのが「アニサキス対策」です。
アニサキスに関しては1記事まるごと解説していますので、ぜひそちらを確認しておくことをオススメします。
美味しく食べた後に「アニサキス症」になって、辛い思いをしないために対処方法を学んでおきましょう。
旨味の秘密は熟成!一番ウマいのポイントを見極めろ!
実は釣った直後の魚は「旨味成分がありません」。
魚の旨味成分は「ATP」と呼ばれ、絶命し死後硬直が始まってから体内に蓄積していきます。
それが腐敗が始めるまで蓄積していきます。
腐敗が始まるタイミングは硬直が終了したと同時に開始となるため、理論的には魚の旨味を一番感じ取れるのは「硬直が解けるタイミング」となります。
ただ、プロでも無い限りそのベストなタイミングを見計らうのは、かなり難しいと思います。
タイミングを間違えたら腐り始めた魚を食べることになりますからね。
ベストなタイミングを見つけるのが難しければ味の変化を楽しめばいいと思いませんか?
私は旨味の変化を楽しむようにしてますよ♪
1日寝かせた刺身、2日寝かせた刺身って具合です。
1回に食べる量が限定される場合もありますが、味の変化が分かるので楽しいです♪
1日目から食べることで早く食べたい!という釣り人心理をうまく利用していると自分の中では思ってます(^^)
ライブウェル等で活かしておいた魚はウマいのか?
たまーに釣り場でスカリやライブウェルを使用して魚を活かしたまま持って帰る努力をしている人がいますよね。
確かに「生きてる魚=新鮮」という構図が成り立つので、メチャクチャ新鮮な魚を食べたい!という理にかなっているように思えます。
しかし、釣り上げた魚は先程もお伝えしたように「旨味成分」がありません。
なので、苦労してまで生かしておく必要はないんじゃないかと思ってます。
しかもですよ、釣り上げた魚を狭い空間に閉じ込めるのって環境ストレスがかかりますよね。
ニジマスの鮮度保持に及ぼす脊髄破壊の効果という論文でも、ストレスを受けた魚は硬直がすぐに発生し鮮度が保てないとあるので環境ストレスを与える前に適切な処理をしてしまった方がいいと思います。
最後に
釣った魚の鮮度を保つ方法はこれでバッチリですね!
- 小さい魚は氷水締め
- 大きい魚は血抜き&脳締め&神経締め
が正解でした。
全部やるのはちょっと大変かなーとも思いますが、命を頂くことへの感謝の意味も込めて美味しく頂くのは当然なのかなとも思います。
そう考えると日々の食事も一緒ですしね。
毎日、毎食のことですが美味しく食事が出来ていることに感謝していきましょう。